令和4年1月から、事業者(法人税・申告所得税納税義務者)が取引した電子取引データは、電子データによる保存が義務化されました。紙で受け取ったものは紙のまま保存してもいいですが、電子取引データで受け渡ししたものは電子データのまま保存しなければならないというものです。インターネットによる請求書等の受け渡し、ネット通販での購入、電子メールによる見積もりや発注なども電子取引にあたります。
とはいえ、経理のシステムや業務フローの変更、運用にあたり改善が必要となったりと、保存義務化への対応は時間を要し簡単なことではないため、宥恕措置として令和5年12月31日までは今までの方法で印刷しての保存も認められています。
中小企業の中にはまだまだ電子取引が少ないところもあるかと思いますが、急速なキャッシュレ決済の普及とともに請求書や領収書のペーパーレス化がさらに進み、経理のデジタル化は必須の流れとなります。令和5年10月からは消費税のインボイス制度も始まり様々な準備・対応が必要となってくる上、宥恕措置期間が終わる令和6年1月からは電子取引データを印刷して保存することが一切認められなくなってしまいます。まだ時間があるからと先延ばしにせず、時間をかけて保存体制を構築・整備していくことをお勧めします。先ずは自社の電子取引を洗い出し、保存方法や電子保存システムを検討することから始めてみましょう。
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「脱ハンコ」税務書類押印の廃止
令和3年度税制改正大綱により、4月1日以降に提出する税務関係書類について原則押印義務が廃止となりました。行政手続きのデジタル化の一環ですが、新型コロナの影響が大きく後押しした形です。確定申告や法定調書、個人事業の開業・廃業等届書など国税、地方税の税務関係書類のほとんどで押印が不要となります。
また、事業者が1つのアカウントで複数の行政サービスを利用できる「GビズID」というシステムの運用も始まっています。
注意点
相続税や贈与税に関する書類等、これまで実印による押印・印鑑証明書の添付が求められていたものは対象外です。
国税庁HP 「税務署窓口における押印の取扱いについて」より
押印が存続される書類
(1) 担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
(2) 相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類
・遺産分割協議の内容は相続税の計算に直接影響することから、その内容が全員の真意に基づき成立したものであることを担保する措置が必要なため押印が存続されます。