令和8年からの所得税がかからない「壁」

「103万円の壁」「160万円の壁」と毎年のように話題になっていますが、令和8年分から所得税がかからない年収の目安が「178万円」へ引き上げられます。この改正によりおよそ8割の方の所得税が減税される見込みです。
今回は、何が変わるのかをわかりやすく解説します。

◆そもそも「年収の壁」とは?
「年収の壁」とは、一定の年収を超えると税金や社会保険料の負担が増えたり、扶養から外れたりする目安のことです。「年収の壁」は1つではありません。
・所得税の壁
・住民税の壁
・社会保険の壁(106万円・130万円など)
・配偶者控除や扶養控除の壁
それぞれ制度が異なります。今回大きく変わるのは「所得税の壁」です。

◆ 所得税の壁は「178万円」へ
令和8年分からは、
①基礎控除の引上げ ②給与所得控除(最低保障額)の引上げ
が行われるため、所得税がかかり始める年収の目安が”178万円”(給与収入のみの場合)になります。
これまでよりも多く働いても所得税がかからない範囲が広がるため、働き控えの解消が期待されています。また、今後は物価上昇に応じて、基礎控除などを定期的に見直す仕組みも導入されました。

◆ 扶養の判定も変わる
基礎控除の見直しに伴い、扶養親族や配偶者の所得要件も引き上げられます。例えば、「配偶者控除」「扶養控除」の所得要件は合計所得62万円以下へ変更されます。
給与収入のみの場合は、年収136万円以下が税法上の扶養判定の目安です。

◆「178万円」と「136万円」の違い
178万円は「本人に所得税がかかり始める目安」
136万円は「家族の扶養控除・配偶者控除等の判定の目安」

◆ 注意したいのは「社会保険の壁」
所得税の壁が178万円になったからとはいえ、社会保険の加入基準(106万円・130万円など)は今回の所得税改正とは別の制度です。
そのため、 “所得税はかからなくても、社会保険料の負担が発生する” というケースは引き続きあります。また、住民税や社会保険には所得税とは異なる基準があるため、「所得税がかからない=負担がない」というわけではありません。
働き方を考える際は、「税金」と「社会保険」の両方を確認することが大切です。

◆ 年末調整にも影響
今回の改正は令和8年分の所得税から適用されます。
令和8年12月の年末調整で改正内容が反映されるので会社の給与担当者は、年末調整書類や扶養控除等申告書の変更にも注意が必要です。

毎年の税制改正は複雑ですが、今回の改正では所得税の負担軽減だけでなく、働き方にも影響する内容が含まれています。制度の内容を正しく理解し、ご自身やご家族に合った働き方を考える際の参考にしていただければ幸いです。当事務所でも、今後の税制改正や実務への影響について、引き続き分かりやすく情報を発信してまいります。

「103万円の壁」どうなった?

令和6年末から話題となっていた「103万円の壁」、結局どうなったのでしょうか?
所得税の「103万円の壁」は、令和7年度より基礎控除額が最大で95万円に、給与所得控除の最低保障額が65万円となり、所得税のかからない「壁」は年収160万円に引き上げられます。合計所得が132万円以下(給与収入で200万円相当)の人はこの160万円の壁で減税されることになります。合計所得が132万円超の人は、年収に応じて基礎控除額が段階的に変わります。わかりにくいですが目安として給与収入200万円相当~2,545万円相当までの人は2万円~3万円程度の所得税減税となるようです。103万円の壁を気にして働いていた方にとっては、働き方を見直す良い機会ですが、
一定の年収を超えると社会保険への加入や住民税の課税も生じるため、手取りが減ってしまうこともあるのでやはり留意が必要です。103万円の壁見直し
年収
1月1日から12月31日までの1年間に会社から支払われる各種手当などを含む給与等の総支給額。
所得:税法上、収入から必要経費を差し引いたもの。
給与所得者の場合は「給与所得控除」を必要経費として差し引いたものが給与所得です。
合計所得金額:給与所得など各所得を合算したもの。その年の収入が給与所得のみの場合は給与所得が合計所得金額になります。

基礎控除の額基礎控除

給与所得控除の額給与所得控除