遺産分割について その6

一般的に相続は両親の死亡によって発生します。父と母、一度目を「一次相続」、二度目を「二次相続」と言います。その違いとは?

二次相続まで考える
一次相続と二次相続では相続人の構成が違ってきます。一般的に一次相続の相続人は「配偶者と子」、二次相続では「子」が相続人となります。二次相続のイメージ
二次相続では、法定相続人の数が減ることから基礎控除が減少し、また配偶者控除も使えないなどで相続税が増えることが予想されます。後々、後悔することにならないよう、一次相続の遺産分割協議の段階で、二次相続を想定して話し合い、適切な対策をとることが大切です。

二次相続で相続税が増える理由
①基礎控除が減少
相続税の課税価格から差し引ける基礎控除は
「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。
また死亡保険金や死亡退職金は法定相続人1人あたり500万円の非課税限度額があります。法定相続人が減るとその分非課税枠が減ることになります。

②配偶者控除が使えない
配偶者が相続した遺産のうち1億6千万円、もしくは配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までは相続税がかからない、配偶者の税額軽減という大きな節税効果のある特例があります。
もし一次相続で配偶者控除により相続税0円で相続した場合、この財産と妻の財産も合算される二次相続では遺産総額が増え、税率も高くなっていくことから、子どもらの相続税額が大きく増えてしまう可能性があります。

③小規模宅地等の特例の適用条件が厳しくなる
被相続人が居住していた宅地等を一定要件のもとに最大80%評価減できる、こちらも大きな節税効果のある特例ですが、居住用宅地等の特例では配偶者が相続する場合以外は適用条件があり、同居していない親族や、持ち家に住んでいる親族の場合など特例が使えないケースもあります。二次相続でも特例を活用できるよう誰が相続するのが得策か考慮する必要があります。

遺産分割について その5

不動産の相続 2
不動産の相続税対策の中でも一番利用されているのが 、「小規模宅地等の特例」です。
小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた土地や事業をしていた土地について、一定の要件を満たしたときに最大で80%その宅地の評価額を下げて相続税の負担を軽減し、配偶者など残された家族がその家に住み続けられるように創設された制度です。適用できる宅地等の区分や要件が複数あり複雑な制度ですので、有利に活用するためには慎重な判断が必要です。専門家へのご相談をお勧めします。

小規模宅地等の特例の主な種類

特定居住用宅地等の特例
亡くなった人の自宅として使っていた宅地等に対する特例です。自宅を持っている方ならば、どなたでも活用できるのがこの居住用です。居住用の評価減額の要件は以下の通りです。

遺産分割について その4

土地や家の相続。
単純に分けられない不動産の遺産分割、争族を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか?

不動産の相続 1
不動産を含む相続財産を分割する場合には、以下のような分割方法が考えられます。

①現物分割
一つの物を形を変えずに、例えば一つの不動産を一人が相続し、その他の財産を他の相続人で分ける方法です。それぞれの価値に偏りがあると、誰が何を相続するかで揉める可能性があります。

②代償分割
一人の相続人が不動産を相続し、残りの相続人には相続分に相当する金銭を渡す方法です。この場合不動産を相続する人は現金の用意が必要となります。代償分割をする際の不動産の時価評価は、相続税においての時価評価とは異なり、実際の時価額が原則です。

③換価分割
相続財産である不動産を売却し、その売却で得た利益を相続人で分ける方法。不動産を相続しても活用できなかったり、代償分割・現物分割が難しい場合に、現金を平等に分配できるので、揉め事の起こりにくい遺産分割方法です。

④共有分割
一つの不動産を共有名義にして相続する方法です。簡単な方法に思われますが、相続した不動産を売却する際や賃貸に出す場合など、名義人全員の同意が必要になるため、トラブルにつながる可能性があります。親子での共有以外は共有分割は避けた方がいいでしょう。

配偶者居住権
配偶者居住権とは、被相続人個人が所有していた実家などに、亡くなった人の配偶者が住み続けられる権利です。例えば、夫が所有していた自宅を子どもが相続しても、配偶者居住権を設定すれば所有権がない妻でも安心して確実に住み続けることが可能です。また配偶者が自宅そのものを相続する場合に比べて、預貯金などの相続分を確保しやすくなります。配偶者居住権は、遺産分割協議・遺言・家庭裁判所の審判のいずれかによって設定します

相続対策「配偶者居住権」とは?

知っておきたい相続対策。本日は令和2年4月1日から施行された「配偶者居住権」についてです。
配偶者居住権とは、残された配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物(自宅)に、終身又は一定期間無償で住み続けることができるとする法定の権利です。

本来、自宅は不動産所有権という1つの権利です。
例えば、相続人が妻と子ひとりで、遺産が自宅(3000万円)と預貯金(3000万円)があります。遺言書がなかったり遺産分割協議が折合わず法定相続となった場合、妻と子の相続分は1:1(6000万円の2分の1ずつ)となります。妻が居住している自宅を相続すると、預貯金は子の相続分となり、預金を相続できなかった妻は今後の生活が成り立たなくなる恐れも予想されます。

配偶者居住権の制度では自宅の権利を「所有権」と「居住権」という2つに分け、配偶者は自宅での居住を継続しながら、例えば生活費として預貯金などの財産も相続しやすくしたものです。上記の例で自宅3000万円(配偶者居住権:1500万円 負担付き所有権:1500万円として)預貯金3000万円の場合、妻は配偶者居住権1500万円と預貯金1500万円、子は負担付き所有権1500万円と預貯金1500万円という形で、妻は生活のための住居と費用を相続することができます。

配偶者居住権は名前の通り配偶者だけのものなので、その権利を売却することや相続させることはできません。期間満了や配偶者の死亡によって消滅した場合は元の所有者(所有権)に戻り、相続税や贈与税は課税されません。

家族の間でもぜひ知っておきたい制度です