納税猶予制度

昨年新型コロナ税特法により実施された納税猶予の特例措置は、令和3年2月1日で適用期限が終了しました。2月2日以降は、資金繰り悪化などで国税を一時に納められない場合、納税の猶予制度である、「換価の猶予」「納税の猶予」を適用することになっています。

換価の猶予
~新型コロナの影響で収入が大幅に減少した場合など
税務署長への申請により最大1年間の分割納付が受けられ、猶予期間中の延滞税が軽減されます。
要件
➀一時の納税により事業の継続・生活の維持が困難となる恐れがある
➁納税について誠実な意思がある
➂猶予を受けようとする国税以外に滞納がない
➃納期限から6か月以内に申請

納税の猶予
~災害(新型コロナの影響を含む)による財産の損失や事業に著しい損失があった場合
税務署長への申請により最大1年間の分割納付が受けられ、延滞税が免除または軽減されます。
該当するケース
➀新型コロナ感染症患者が発生した施設で消毒作業が行われたことにより備品や棚卸資産を廃棄した
➁納税者本人または生計を同じにする家族が病気にかかった
➂納税者が営む事業についてやむを得ず休廃業した
➃納税者が営む事業について、利益の減少等により著しい損失を受けた

まだまだ先の見えないコロナ過での厳しい経済状況において、手間はかかるものの使える制度は出来るだけ活用したいものです。補助金だけでなく多くの支援策や特例措置が設けられているので管轄の税務署や行政の窓口への積極的なご相談をお勧めします。

国税庁HP 新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ
国税の納税の猶予制度に関するFAQ

「脱ハンコ」税務書類押印の廃止

令和3年度税制改正大綱により、4月1日以降に提出する税務関係書類について原則押印義務が廃止となりました。行政手続きのデジタル化の一環ですが、新型コロナの影響が大きく後押しした形です。確定申告や法定調書、個人事業の開業・廃業等届書など国税、地方税の税務関係書類のほとんどで押印が不要となります。
また、事業者が1つのアカウントで複数の行政サービスを利用できる「GビズID」というシステムの運用も始まっています。

注意点
相続税や贈与税に関する書類等、これまで実印による押印・印鑑証明書の添付が求められていたものは対象外です。

国税庁HP 「税務署窓口における押印の取扱いについて」より
押印が存続される書類

(1)  担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
(2)  相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類
・遺産分割協議の内容は相続税の計算に直接影響することから、その内容が全員の真意に基づき成立したものであることを担保する措置が必要なため押印が存続されます。

「総額表示」義務付け開始

新年度4月1日から「総額表示」の義務化かスタートしました。総額表示とは消費者が商品を購入する際の誤認防止のために、値札やチラシ、広告、カタログ等の表示価格を消費税を含んだ支払総額がわかるように記載することを義務付ける制度です。

「総額表示」の正しい表記方法を押さえておきましょう!
令和3年4月1日以降、商品の値札には顧客の支払総額を記載する必要があります。

誤りの例 正しい例
・10,000円(税別価格)
・10,000円(本体価格)
・10,000円 +消費税
・10,000円(表示価格は税別です)
・11,000円(税別価格)
・11,000円(税込み)
・11,000円(うち消費税1,000円)
・10,000円(税込11,000円)

支払総額である「11,000円」が明瞭に表示されていれば、「消費税額等」や「税抜価格」が表示されていても構いません。現行では、総額表示を怠ったことに対する罰則はありませんが小売段階の価格表示をするときには総額表示が義務となりますので違反とならないよう、値札の張替えや印刷物の差替えを行うなど対応が必要です。